公園や田んぼのあぜ道で、お子さんが目を輝かせて小さなカエルを手に帰ってくる。
「お父さーん、お母さーん!見て!カエル捕まえちゃった!」
そんな微笑ましい光景、自然豊かな場所ではよくあるかもしれませんね。
でも、親御さんとしては
「えっ、カエル?どうしよう…飼えるの?」
「毒とかないのかな?」
と、喜び半分、戸惑い半分なのではないでしょうか。
こんにちは!ペットホテルまるまるハウスです。 私たちは、わんちゃん猫ちゃんをはじめ、たくさんの動物たちと関わる中で、「命を大切にする心」をいつも一番に考えています。
カエルさんも、私たちと同じように一生懸命生きている、かけがえのない命です。
この記事では、もしお子さんがカエルを捕まえてきて「飼いたい!」と言った時、どうすれば良いのか、カエルの基本的な飼い方から、飼育に必要なもの、そして「飼う」ことの責任について、まるまるハウスが皆さんと一緒に考え、分かりやすく解説していきます。
この記事を読めば、カエルさんとの出会いが、親子にとって素晴らしい学びの機会になるはずです。
そのカエルさん、どんな子?|カエルの種類と注意点

さあ、目の前にいる小さなカエルさん。まずはどんな種類なのか、少し知っておきましょう。
日本で見かけるかもしれないカエルさんたち
周りには、色々な種類のカエルさんが住んでいます。お子さんが捕まえてきたのは、もしかしたらこの中の誰かかも?
ニホンアマガエル

体の大きさが2cmから4.5cmくらいの小さなカエルで、日本の固有種です。
周りの色に合わせて、体の色を緑色や灰色、まだら模様に変えることができます。これは、皮膚にある特別な細胞のおかげで、敵から身を守るのに役立っています。
主に木の上で生活し、指の先にある丸い吸盤で上手にくっつきながら動きます。
春から夏にかけて、オスはのどの袋を大きく膨らませて「クワックワッ」とか「ゲッゲッゲッ」と大きな声で鳴いてメスを呼びます。
雨が降る前や湿気の多い日によく鳴くので、「雨の蛙」と書いてアマガエルと呼ばれています。お子さんに、漢字で「雨蛙」と書くことや、なぜ鳴くのかを教えてあげると、もっとカエルに興味を持つかもしれませんね。
モリアオガエル

オスは4.2~6.2cm、メスは5.9~8.2cmくらいになる、比較的大きなアオガエルで日本固有種です。
背中は鮮やかな緑色で、茶色い斑点があることもあり、お腹は白っぽいです。木登りが得意で、指先には大きな吸盤があります。
一番の特徴は、池や沼、水田などの水辺に張り出した木の枝や葉っぱの上に、泡でできた巣を作って卵を産むことです。卵からかえったオタマジャクシは、下の水にポチャンと落ちて育ちます。このユニークな産卵方法は、モリアオガエルの面白い生態の一つです。
シュレーゲルアオガエル

オスは3.2~5.3cm、メスは4.3~6.3cmくらい。日本固有種のカエルで、ニホンアマガエルと似ていますが、こちらの方が少し大きく、体はツルツルしていてきれいな緑色です。
お腹側は白く、背中側は緑色をしていますが、保護色で褐色になることもあります。
目の色は金色っぽく、目の真ん中の黒い部分は横長のだ円形です。主に森の木の上や草むらに住んでいて、春から夏になると田んぼや池のそばに集まってきます。
オスは水辺の土の中や草の根元などに、泡でできた卵のかたまりを産みます。
トノサマガエル

オスは3.5~8.5cm、メスは4.5~9.5cmくらいの大きさです。日本以外にも中国、朝鮮半島、ロシア沿海州にも生息しているため、日本固有種ではありません。
田んぼや湿地、池のそばの草むらなど、水の近くが好きです。
背中にはっきりとした黄緑色か薄茶色の線があり、その両側には黒っぽいまだら模様があるのが特徴です。体の色は緑色、茶色、灰色といろいろで、周りの色に合わせた保護色になっています。
昔は田んぼでよく見かけましたが、最近は田んぼの様子が変わったり、農薬の影響、ウシガエルに食べられたりして数が減っているところもあります。
「殿様蛙」という名前は、トノサマガエルの立派な姿からついたと言われています。
ニホンアカガエル

オスは3.5~6.0cm、メスは4.0~7.5cmくらいで、日本固有種です。
体は赤茶色から黄色っぽい茶色で、背中に黒っぽい模様があることもあります。耳の後ろから体の横にかけて、黒っぽい太い線があるのが特徴です。
主に平地から山地の森や草むら、田んぼの周りに住んでいます。
春になると田んぼや湿地、浅い池などに集まって、水の中にゼリーのような卵のかたまりを産みます。春早くから活動を始めるカエルです。
ツチガエル

大きさは3.5~5.5cmくらいで、日本固有種です。背中全体がイボイボしていて、触るとザラザラしています。
体の色は灰色っぽい茶色から黒っぽい茶色で、まだら模様があることもあります。お腹は白っぽく、黒い点々があることもあります。
田んぼや湿地、池、水路など水の近くや、その周りの草むらに住んでいて、水の中にいることが多いカエルです。
「イボガエル」とも呼ばれるのは、このイボイボの皮膚のためです。
ヒキガエル

日本のカエルの中では大きく、7~15cm以上になることもあります。
体の色は黄色っぽい茶色、赤っぽい茶色、黒っぽい茶色など様々で、まだら模様があることもあります。皮膚はカサカサしていて、イボがたくさんあります。
一番の特徴は、目の後ろにある大きな耳腺(じせん)という場所から、白いネバネバした毒(ブフォトキシンなど)を出すことです。この毒は敵から身を守るためのもので、人の目や口に入るとヒリヒリしたりするので、触った後は必ず石鹸でよく手を洗いましょう。
動きはゆっくりしていて、主に夜に活動します。(ニホンヒキガエルやアズマヒキガエルなど、住んでいる場所によって種類が少し違います)
毒がある「ヒキガエル」に要注意!
「カエルって触っても大丈夫?毒はないの?」と心配になるかもしれません。
日本で普通に見かけるカエルの多くは、触ったくらいで人に大きな害を及ぼすような強い毒は持っていません。
ただし、ヒキガエルは注意!
ヒキガエルは皮膚から白い液体の弱い毒を出します。目に入ったり、傷口についたりすると良くないので、触った後は必ず、すぐに石鹸で手をよーく洗いましょう。
カエルの皮膚には、私たちには見えない細菌などがついていることもあります。また、私たちの手の汚れや油がカエルのデリケートな皮膚に影響を与えることもあります。

どんなカエルでも、触った後は必ず手を洗う習慣をつけましょう!
野生のカエルを「飼う」ということ |まるまるハウスからのお願い
カエルさんとの出会いは、とってもワクワクしますよね。
でも、まず一番に考えてほしいのは、「そのカエルさんにとって、何が一番幸せか」ということです。
野生の生き物は、元いた自然の中で暮らすのが一番です。
できれば、お子さんとよく話し合って、捕まえた場所の近くに、そっと逃がしてあげることを考えてあげてください。
「バイバイ、またね!」と自然に返すことも、大切な優しさです。
それでも、「どうしても少しの間だけ飼って観察したい」「お世話を頑張ってみたい」という場合は、必ず最後まで責任を持って飼うこと、そしてもし飼いきれなくなっても、絶対に他の場所(例えば遠くの公園や違う地域の川など)には放さないことを約束してください。
元いた場所以外に放すと、その場所の自然のバランスを壊してしまうことがあります。
カエルさんのお家を作ろう!|飼育に必要なものリスト
もしカエルさんを飼うことになったら、快適なお家を用意してあげましょう!
必要な物はコチラ↓↓
必要なもの | 重要度 |
---|---|
飼育ケース | 高 |
陸地と水場 | 高 |
お水 | 高 |
隠れ家(シェルター) | 中 |
パネルヒーターやライト | 低 ※冬は高 |
霧吹き | 中 |
ピンセット | 低 |
飼育ケース
フタがしっかり閉まるプラスチックケース(虫かごなど)や、小さな水槽がおすすめです。カエルさんはジャンプが得意なので、脱走しないようにフタは必須!でも、空気が通るように、小さな穴がたくさん開いているものを選びましょう。
陸地と水場
ケースの中に、カエルさんが休める陸地と、水に入れる水場の両方を作ってあげましょう。
- 陸地の作り方
赤玉土(園芸用)や黒土、ヤシガラ土などを敷き、その上に湿らせたミズゴケを置くと良いでしょう。石や落ち葉、カエルさんが隠れられるような小さな植木鉢のかけらなどを置くのもグッド。 - 水場の作り方
ケースの3分の1くらいのスペースに、浅く水を張ります。または、ケースの底にタッパーなどの浅い容器を置いて、そこに水を入れます。水深は、カエルさんが顔を出せるくらい(1~3cm程度)にしましょう。
お水
水道水を使う場合は、そのままではカエルさんによくない「カルキ(塩素)」が入っています。日当たりの良い場所にバケツなどで水を汲み置きするか、市販のカルキ抜き剤を使ってカルキを抜いたお水を用意しましょう。
隠れ家(シェルター)
カエルさんは臆病な子が多いので、安心して隠れられる場所が必要です。陸地に置いた植木鉢のかけらや流木、葉っぱの陰などが隠れ家になります。市販の爬虫類用シェルターも使えます。
パネルヒーターやライト
カエルさんの種類や、お部屋の温度によっては、冬場にケースの下に敷く「パネルヒーター」で保温したり、専用のライトが必要になったりすることもあります。でも、最初は岡崎の気候なら常温で飼いやすいニホンアマガエルなどから始めるのが良いでしょう。
霧吹き
カエルさんの皮膚や周りの環境が乾燥しないように、1日に数回、ケースの中に霧吹きでお水をかけてあげましょう。特に陸地部分が適度に湿っているようにします。
ピンセット
エサをあげたり、フンを掃除したりする時にあると便利です。割りばしでも代用できます!
カエルのエサやり解説|カエルは「生きている虫」が大好き!


カエルさんと一緒に暮らしていくのにエサやりは一番重要です。せっかくなら大好きなご飯を準備してあげましょう!
カエルさんが食べるもの
カエルさんは生きている小さな虫が大好物です。コオロギの赤ちゃん、小さなバッタ、アブラムシ、ハエ、クモ、ワラジムシなど、自分の口より小さい、動く虫を食べます。
エサの集め方
エサの集め方は「採集」か「購入」です。
採集の場合は草むらや木の葉っぱの上などで、小さな虫を探してみましょう。ただし、農薬や殺虫剤がかかっていそうな場所の虫は絶対にあげないでください。
購入する場合は、爬虫類を扱っているペットショップでは、カエルさんのエサになる小さなコオロギやミルワーム(幼虫)などを売っています。お店の人にカエルさんの頭の大きさを伝えて「カエルさんのエサをください」と聞いてみましょう。
また、ダスティング(カルシウム剤をまぶすこと)をしてからあげてください。コオロギ単体だけでは、栄養不足になってしまい骨疾患などの病気のリスクがあがります。
エサのあげ方と回数
いよいよエサやりに挑戦です。以下のポイントを押さえてエサやりをしましょう!
いつあげるの? | どのくらいあげるの? | 食べ残しは片付けよう |
いつあげるの?
多くのカエルさんは夜行性なので、夕方~夜にあげるのが良いでしょう。
どのくらいあげるの?
カエルさんの種類や大きさにもよりますが、だいたい1日~3日に1回くらいが良いです。カエルさんの頭の半分くらいの大きさの虫を、1~3匹程度あげてみましょう。
お腹が空いていれば、ピンセットでつまんで目の前で動かすと、パクッと食べてくれます。
ケースの中に放しておいて、カエルさんが自分で捕まえるのを観察するのも楽しいですよ。
食べ残しは片付けよう
食べ残したエサや、死んでしまった虫は、ケースの中が汚れたり、カビが生えたりする原因になるので、見つけたら取り除いてあげましょう。
「エサを食べてくれない…」そんな時は?
エサを食べてくれないと心配になってしまいますよね。そんな時は以下のチェックポイントを確認して改善してみましょう。
- まだ新しいお家に慣れていなくて、緊張しているのかも?
- お部屋の温度が低すぎたり、高すぎたりしていませんか?
- ケースの中が乾燥しすぎていませんか?
- エサの虫が大きすぎたり、小さすぎたり、またはカエルさんの好みじゃないのかも?
- カエルさんが隠れられる場所がなくて、落ち着かないのかも?



あまりにも長く食べない場合は、残念ですが自然に返すことを考えた方が良いかもしれないね。
毎日のお世話と気をつけること|カエルさんと仲良くするために


カエルさんと仲良く元気に暮らすためには、エサやりだけではなく、水分補給やケージのお掃除などのお世話が必要です。注意点も含めてしっかり覚えておきましょう。
お世話をする前の注意点
カエルさんは、変温動物で外気の温度によって体温が変わる生き物です。カエルさんの体温が20~27度に対し、私たち人間の体温は36~37度なため、差が15度もあります。
この15度という差が、カエルさんの皮膚にやけどを負わせてしまうことがあるので、直接手で触ることはやめるようにしましょう。
カエルさんを移動しなくてはいけない時は、網ですくったり、濡れた手袋などでやさしく運んであげてください。



どうしても手でつかまないといけないときは、手を冷やしてから濡れたまま触りましょう!



触った後は、必ず手を洗おうね!
毎日やってあげたいお世話(子どもとチャレンジ!)
小さいお子さんでもできるお世話をまとめました。ぜひチャレンジしてみてください!
霧吹きシュッシュ!
ケースの中が乾燥しないように、1日に1~2回、霧吹きでお水をかけます。陸地の土やミズゴケがしっとりするくらいが良いでしょう。カエルさん自身に直接かけるより、周りの環境を湿らせるイメージです。
お水の交換
水場の水は、フンなどで汚れやすいです。特に夏場は、暑さで水が悪くなりやすいため、できれば毎日、少なくとも1日おきには新しいお水(カルキを抜いたもの)に取り替えましょう。
カエルさんの様子をチェック!
元気かな?皮膚はカサカサしていないかな?変なところはないかな?そっと観察して、何か変わったことがないか見てあげましょう。
数日に1回~週に1回くらいのお世話
- フンや食べ残しを見つけたら、ピンセットなどで取り除いて、ケースの中をきれいに保ちましょう。
- 陸地部分の土やミズゴケがひどく汚れていたら、その部分だけ新しいものに取り替えます。
カエルさんを飼う上での注意点(お父さんお母さんへ)
カエルさんを飼育する上での注意点をまとめました。
- 脱走の名人!
小さなカエルでも、ちょっとした隙間から脱走することがあります。ケースのフタは必ずしっかり閉め、隙間がないか常に確認してください。 - 温度管理
カエルの種類によって快適な温度は異なります。日本のカエルの多くは極端な暑さや寒さが苦手です。夏場はケースを直射日光の当たらない涼しい場所に置き、冬場は種類によってはパネルヒーターなどで保温が必要な場合があります。 - 水質の悪化に注意
水場の水が汚れると、カエルが病気になる原因になります。こまめな水換えを心がけましょう。 - 化学薬品は絶対ダメ!
殺虫剤、蚊取り線香、芳香剤、洗剤などがケースの近くにあると、カエルにとって非常に危険です。絶対に入らないように注意してください。
冬はどうするの?カエルさんの冬越しについて
「カエルさんって冬眠するんでしょ?お家で飼ってたらどうなるの?」と疑問に思うかもしれません。
日本に住んでいる多くのカエルさんは、寒くなると土の中や落ち葉の下などで冬眠します。
お家で飼っているカエルさんを冬眠させるのは、温度や湿度の管理がとても難しく、初心者にはあまりおすすめできません。
もし冬眠させずに冬を越させたい場合は、秋の終わり頃からパネルヒーターなどで保温を始め、活動できる温度(種類によりますが15℃~20℃くらいを保つのが目安)を維持し、エサも少量ずつ与え続ける必要があります。
どちらの方法を選ぶにしても、事前に飼っているカエルの種類に合った冬越しの方法をしっかり調べて準備することが大切です。
命を預かる責任と、そこから生まれる学び
お子さんが「飼いたい!」と言ったカエルさん。それは、「小さな命を預かる」ということです。 生き物を飼うことは、ただ可愛い、面白い、というだけではありません。
毎日のお世話、エサの準備、病気になったらどうしようという心配…たくさんの責任が伴います。でも、その責任を親子で一緒に果たすことで、お子さんはたくさんのことを学ぶはずです。
- 命の大切さ
小さなカエルも、私たちと同じように一生懸命生きています。その姿を間近で見ることで、命の尊さを感じることができます。 - 思いやりの心
どうすればカエルさんが快適に過ごせるかな?お腹が空いていないかな?と考えることで、相手を思いやる気持ちが育ちます。 - 観察力と探求心
カエルさんの動きや食べる様子をじっくり観察することで、新しい発見があり、もっと知りたいという探求心が生まれます。
カエルさんの飼育を通して、親子でたくさん話し合い、協力し合ってください。それは、お子さんだけでなく、ご家族みんなにとって、かけがえのない経験となり、心を豊かにしてくれるはずです。
生き物を「育てる」ということは、私たち自身も「育てられる」ということなのかもしれませんね。
まとめ|カエルさんと素敵な毎日を!


子どもが捕まえてきた小さなカエル。その出会いを大切にし、正しい知識を持って愛情を込めてお世話をすれば、カエルさんは私たちにたくさんの驚きと感動、そして学びを与えてくれます。
この記事が、皆さんとカエルさんとの素敵な関係づくりの第一歩となり、豊かな自然と生き物への関心が深まるきっかけになれば、私たちまるまるハウスも心から嬉しいです。
ようこそ、カエルさんのいる生活へ!
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